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その光景を見て、聖が小さく声を出した。 『かめ、ヤバイぞ。』 俺が聖の顔を見ると、すごく深刻そうだった。 『...。』 俺は目が合って、見つめていた。 するとそいつがニヤリと笑い、もう一度赤西に向かってパンチを振り上げた。 『...仁!!』 山下の声を聞いて、俺は急いで赤西の前に立った。 そしてパンチを手で受け止めた。 『もう終わりにしろよ。』 「は??」 『迷惑なんだよ。』 俺が冷静に言ったのが気に入らなかったのか、思いっきり殴られた。 『かめ!!』 聖の声が聞こえて、こっちに来そうになっているのを、俺は手を上げて止めた。 そして、赤西の前から退けずに、目の前の奴の顔を見た。 『てめえのパンチ、軽すぎて効かないんだけど。』 「てめえ!!」 そう言ってもう一度殴られそうになったが、俺はその腕を掴み、後ろに回して壁に押した。 「ってぇ。」 『やめろって言ったのが聞こえてないわけ??』 「仲間じゃねぇなら、どうなったって構わねぇだろ。」 『仲間じゃねぇけど、こういうのは気に入らねぇ。』 そう言って俺は腕に力を入れた。 『俺、殴られただけで殴ってないから、交番でも行くか??』 そう言うとそいつは舌打ちをした。 それを聞いて俺は手を離した。 『迷惑だから、隠れてる仲間と一緒に帰れよ。』 俺が顔を見てそう言うと、肩がピクリと動いた。 「さすが、亀梨だな。」 そう言ってそいつは赤西を見た。 「お前の学校、体育祭近いんだな。」 そう言ってそいつは笑って帰っていった。 すると聖がこちらに来た。 『大丈夫か??』 『あぁ。』 俺はそう言ってカバンを拾った。 『聖。』 『ん??』 『先、帰るわ。後のこと、頼むわ。』 俺がそう言うと聖は頷いた。 それを見て、俺は一人、歩き出した。
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