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月日は経って、体育祭の日がやって来た。
入場前の担任はものすごい迫力で激励をとばしていた。
「お前ら、構わずに優勝狙え!!」
その言葉を適当に聞き流し、俺はぴぃと話をしていた。
しばらくすると、入場が始まり、開会式が行われた。
かったるい校長の話も終わり、いよいよ、競技が始まった。
障害物競走や玉入れなどをやり、空き時間には昼飯を食べた。
午後のはじめは、二人三脚で、おれとぴぃは一位を取った。
そして、俺は棒取りを行ってからの選抜リレーの準備のため、ぴぃと一緒に裏側を歩いていると、腕を掴まれた。
俺はそっと振り向くと、そこには黒木とその仲間が居た。
『お前ら。』
ぴぃがそう言うと、黒木が俺を壁に突き飛ばした。
「一週間ぶりだな。元気にしてたか??」
黒木は俺に向かってそう言った。
『仁に触んな。』
ぴぃが黒木の腕を掴んだ時、黒木はぴぃを殴った。
「関係ねぇ奴は、引っ込んでろ。おい、お前ら。山下の相手してやれ。」
そう言って黒木は仲間に指示し、仲間たちがぴぃに近づいた。
『お前ら、何やってんだよ。』
その声は、聖だった。
「田中聖か。」
『フルネームで覚えてるなんて、すげえな。』
聖はそう言って山下の元へと向かった。
「お前ら、やれ。」
その声で一斉に動き始めた。
『黒木。やめさせろよ。』
俺がそう言うと黒木はニヤリと笑った。
「それは出来ねぇな。」
そう言って黒木は俺に顔を近づけた。
そして、口を開いた。
「決着つけねぇとならねぇからな。」
黒木にそう言われた瞬間、俺は記憶が蘇ってきた。
そして黒木は俺の前から退けて、俺の目に映ったのは、倒れている聖とぴぃだった。
「中学のあの日は邪魔が入ったからな。今回は仲間も引き連れてきて、よかったわ。」
そう言って黒木は間近に来た。
「お前の全てが欲しかった。」
そう言われた瞬間、俺の身体は尋常ではないくらい、震え出した。
そしてあと数センチという所で、目の前から黒木が消えた。
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