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海の家を出てすぐに山下の姿が見えた。 そして、山下の視線の先には、赤西。 赤西は海を見ながら、泣いていたような気がした。 すると山下がこちらを向いた。 『..亀梨..。』 『かめ。』 そう言って聖が前に出てきて、俺は聖の肩に手を置いた。 『聖のこと、責めない。山下と赤西がこの海に何時来ようと、自由だから。』 そう言って俺は聖を退けて、前に出た。 『俺は山下と違って優しくない。でも、おばちゃんに頼まれたら、行かないわけにはいかない。』 そう言って俺は山下を退けて、赤西のところに向かった。 その後を山下と聖がついてきたが、俺は気に留めなかった。 そして、俺は海の家で買っておいたラムネを、赤西に差し出した。 すると、赤西は顔を上げてこちらを見た。 『早く受けとれよ。』 そう言うと赤西は、そっとラムネを受け取った。 そして、俺は少し離れた所に座った。 『...4年ぶりに来たんだ、この海。』 『俺は、6年ぶりだ。』 そう言って俺は海を見た。 『そうだったな。』 『嫌いだから、この海。』 俺は改めてそう言った。 『昔から、亀梨はそう言ってたな。』 『思い出にするのも、嫌だから。』 『...。』 黙っている赤西を俺は見つめた。 『でも、赤西と一緒に来た時は、思い出にしても良いと思えた。』 そう言うと赤西は驚いていた。 『赤西はいつも波にさらわれて、焦ってたからな。』 そう言うと赤西は笑った。 『それは、亀梨がヘタレとか言うから。』 『笑えるじゃん、お前。』 そう言うと赤西は目を見開いた。 『山下も心配してる。赤西には言わないけど、お前が笑わなくなったのを、心配してると思う。』 『...。』 俺は赤西にそう言うと、赤西は黙って見ていた。 それを見て、俺は立ち上がった。 『やっぱり、俺はこの海が嫌いだ。』 そう言って俺は、聖の元に向かった。 『帰る。』 俺は聖にそう告げて、歩き出した。
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