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- K
二度と戻ってこないと思っていた街に、俺は帰ってきてしまった。
「和也。」
『なに。』
「分かってると思うけど...。」
『分かってるから。』
「住む場所は...。」
『寮だろ??』
「...ごめんなさいね。」
母さんの悲しい声が、車に響いた。
しばらくして車が停まり、俺はドアを開けた。
『...ここか。』
俺はカバンを持って、校門の前に立った。
「寮の場所は大丈夫よね??」
『大丈夫。分からなくなったら、聖に聞くから。』
「じゃあ、荷物は寮に届けるわね。」
そう言って母さんは車を発進させて行った。
『行くか。』
俺は自分に気合いを入れて、足を進めた。
玄関を通り、真新しい靴を履いて職員室を目指した。
職員室に着いて、ノックをして中に入った。
『失礼します。』
俺はそう言って足を進めた。
そうしていると、俺の前に一人の先生が立った。
「君が亀梨君かい??」
『はい。』
「君は僕のクラスに転入するんだ、よろしくな。」
そう言って先生が手を差し出した。
『よろしくお願いします。』
そう言って俺は先生の手を握った。
「そろそろ、朝のHRの時間だな。行こうか。」
そう言われて、俺は先生に付いていった。
教室の前に着いて、俺は立ち止まった。
「呼んだら入ってきてくれ。」
『はい。』
俺の返事を聞いて、先生は教室に入っていった。
先生の声と生徒の声が廊下にも聞こえていた。
「それでは、転入生だ。入ってこい。」
そう聞こえて、俺はドアを開けて中に入った。
そこに今後の人生を変えるほどの出会いがあるなんて、まだ知るはずもなかった。
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