07

5/9
前へ
/150ページ
次へ
そして、息をはいて口を開いた。 『なぁ、山下。お前は、良い奴だし友達を大事にするやつだ。赤西を親友として心配してるのもわかる。でも、それは時に自己満足に繋がるんだよ。』 そう言うと山下は俺に掴み掛かってきた。 『てめえに何がわかる。』 『赤西のことは、赤西が決めればいい。周りが何を言ったって、結局、最後に決めるのは赤西なんだよ。』 『...。』 『周りはそれを後押しすることしか出来ない。強制される筋合いもない。違うか??』 そう言うと山下は手を離した。 それを見て俺は赤西を見た。 『どうする。』 『俺は、会いに行く。』 そう言うと山下は目を見開いた。 『本当に、行くのか??』 『ぴぃ。』 赤西の目は真剣だった。 『...わかったよ。』 山下は諦めたようにそう言った。 『一週間後でいいか??』 『あぁ。』 『じゃあ、話は終わりだ。山下も聖も一週間後な。』 『俺も行くのかよ。』 聖はそう言って俺を見た。 『行くだろ。』 『了解。』 そう言って聖は歩き出した。 山下は黙って俺を見てから、聖の後を追うように歩き出した。 俺らはしばらく何も言わずに座って、同じタイミングで部屋に戻った。 それからは、お互いにやることをやって、夕食も食べて、適当に過ごした。 ベッドに入る間際、赤西が口を開いた。 『俺は亀梨が分かんなくなってきた。』 『どういう意味??』 『前はお前は昔と変わったんだって思った。でも、今は変わってないような気がする。』 赤西はまっすぐ、俺を見た。 見透かされているような気がして、俺は何も言えずにいた。 『本当の亀梨はどっちなんだ??』 赤西の表情は、俺が昔から苦手な困ったような表情だった。 『そんなこと、どうだっていいだろ。』 そう言って俺はベッドに入った。 そして、目を瞑り眠りについた。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

393人が本棚に入れています
本棚に追加