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そして、息をはいて口を開いた。
『なぁ、山下。お前は、良い奴だし友達を大事にするやつだ。赤西を親友として心配してるのもわかる。でも、それは時に自己満足に繋がるんだよ。』
そう言うと山下は俺に掴み掛かってきた。
『てめえに何がわかる。』
『赤西のことは、赤西が決めればいい。周りが何を言ったって、結局、最後に決めるのは赤西なんだよ。』
『...。』
『周りはそれを後押しすることしか出来ない。強制される筋合いもない。違うか??』
そう言うと山下は手を離した。
それを見て俺は赤西を見た。
『どうする。』
『俺は、会いに行く。』
そう言うと山下は目を見開いた。
『本当に、行くのか??』
『ぴぃ。』
赤西の目は真剣だった。
『...わかったよ。』
山下は諦めたようにそう言った。
『一週間後でいいか??』
『あぁ。』
『じゃあ、話は終わりだ。山下も聖も一週間後な。』
『俺も行くのかよ。』
聖はそう言って俺を見た。
『行くだろ。』
『了解。』
そう言って聖は歩き出した。
山下は黙って俺を見てから、聖の後を追うように歩き出した。
俺らはしばらく何も言わずに座って、同じタイミングで部屋に戻った。
それからは、お互いにやることをやって、夕食も食べて、適当に過ごした。
ベッドに入る間際、赤西が口を開いた。
『俺は亀梨が分かんなくなってきた。』
『どういう意味??』
『前はお前は昔と変わったんだって思った。でも、今は変わってないような気がする。』
赤西はまっすぐ、俺を見た。
見透かされているような気がして、俺は何も言えずにいた。
『本当の亀梨はどっちなんだ??』
赤西の表情は、俺が昔から苦手な困ったような表情だった。
『そんなこと、どうだっていいだろ。』
そう言って俺はベッドに入った。
そして、目を瞑り眠りについた。
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