07

8/9
前へ
/150ページ
次へ
寮に帰ってすぐに、部屋に戻った。 亀梨は椅子に座り、俺らはテーブルの前に座った。 『...俺は赤西のばあちゃんも両親も知ってる。』 『きっかけは??』 『俺の両親は赤西の両親と友達だったんだ。まぁ、赤西と会った時は、俺もばあちゃんに預けられてた時だったけどな。』 亀梨は真剣に俺を見た。 『お前がばあちゃんの家に来てから、俺は一度だけ両親に会ったことがある。』 『どこでだよ。』 『洋服屋。ばあちゃんと一緒に行って、会った。』 『...。』 『その時に、連絡先をばあちゃんが渡したんだ。』 亀梨は懐かしそうだった。 『電話が来たのは、3回。 一回目と二回目は、赤西の両親。三回目は、病院から。』 『は??』 俺がそう言うと亀梨は深く息をついた。 『事故だった。相手から派手にぶつかったけれど、車に乗っていた運転手は逃げたんだ。』 その瞬間、俺はなんとなく思い出した。 『ばあちゃんから聞いたことはある。』 『お前を迎えに行く途中だったらしい。』 俺はそれを聞いて、目を見開いた。 『嘘だ。』 『赤西のばあちゃんには、その事を伝えていた。でも、ばあちゃんはもう少し月日が経たないと話せないと思ったんだ。』 亀梨の言葉で、俺は納得した。 あの頃のばあちゃんは、すごく俺に気を遣っていた。 『俺は約束した。十年経ったら、話すって。』 『ばあちゃんと??』 『あぁ。』 亀梨はそう言って頷いた。 『もう戻ってこないと思った街に居るお前に、このことは伝えられないと思った。 それでも、母さんの提案で帰ってきて、伝えないわけにはいかないと思った。』 亀梨の表情は、比較的穏やかだった。 それからはしばらく、誰も何も話さなかった。 『俺、』 そう言って俺は口を開いた。 『俺、ますます亀梨が分からなくなった。』 その言葉に誰も話さなかった。 『なぁ、亀梨。』 俺は立ち上がり、亀梨の前に立った。 『お前は、一体...』 そう言いかけると、亀梨は立ち上がった。 『俺、今日は中丸の所に行くわ。』 そう言って亀梨は色んな物を持って出ていった。 『なんだよ、あれ。』 『かめのこと、気になる??』 聖の呟きに俺は振り向いた。 『かめを変えたのは、お前だ。』 聖はそう言って立ち上がった。 『一つだけ、言っておく。かめがゆいちゃんと何をやったか、実際に見た奴は居ない。お前らの想像でしかないんだよ。』 そう言って聖は出ていった。 俺はその意味を考えて、聖を見送った。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

393人が本棚に入れています
本棚に追加