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小屋から少し離れた所で、俺はゆいちゃんから離れた。 『亀梨くんって、やっぱり正直な人だね。』 『なんだよ、それ。』 俺は風景を見ながら、そう言った。 『ねぇ、亀梨くん。』 そう言われて俺は振り向くと、ゆいちゃんは俺の目の前に来ていた。 『年下だから、手を出さないの??』 『何を言ってんだよ。』 『答えて。』 ゆいちゃんはそう言って近づいてきたが、俺は手で阻止した。 そして、俺はゆいちゃんの体をまっすぐにした。 『ごめん。俺は昔も今も、ゆいちゃんのこと、そんな風に見たことは一度もない。』 『...だったら、何で本当のことを言わないの。』 『...。』 『私は、嫌だよ。我慢出来ない。』 ゆいちゃんは泣きそうになっていた。 『これ以上、仁と亀梨くんが、争ったりするのは、嫌。』 『ゆいちゃん。』 そしてゆいちゃんは真剣な目をした。 『全部、言うから。』 『え??』 『私、引っ越すことにした。今より、進学率が高いところに。だから、仁に全部話す。』 『待って。』 『待たない。私は、自分のことは自分で決着つける。』 俺は何も言えなかった。 『亀梨くんは優しかった。それに、仁を守るために、悪者を引き受けてくれた。 でも、それが原因で仲が悪くなるのは、おかしいよ。』 『...。』 そして、ゆいちゃんは俺の手を握った。 『ありがとう、亀梨くん。』 そう言ってゆいちゃんは、手を離した。 『最後に、キスしてもいい??』 ゆいちゃんは困ったように笑った。 『...ごめん。』 そう言うとゆいちゃんは微笑んだ。 『亀梨くんは、仁のこと今でも大切に思ってるんだね。』 そう言ってゆいちゃんは二度とこちらを振り向かずに、去っていった。 『仁が亀梨くんのこと、好きになっちゃう理由、わかっちゃった。負けちゃったな。』 ゆいちゃんが涙を堪えながら、そう言ってたのを、当然俺は知らなかった。
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