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そこに居たのは、上田だった。 『何を熱くなってんだよ。』 上田は亀梨の前に立った。 そして、中丸が近くに居て、中丸も亀梨の盾になった。 『山下もかめを相手に熱くなりすぎなんじゃねぇ??』 上田がそう言うとぴぃは上田に掴みかかった。 『ストップ。』 中丸が二人を引き離した。 『上田はかめと一緒に、先に行って。』 中丸にそう言われて、上田は納得してない顔をしながら、亀梨と共に行ってしまった。 そして中丸は俺らを見た。 『中丸。』 ぴぃは静かにそう言った。 『亀梨と友達なんて、気の毒だな。俺なら、』 ぴぃがそう言って続けようとした時、中丸がぴぃに掴みかかった。 『ふざけるな。山下に何が分かるんだよ!!』 中丸のこんな姿をあまり見たことが無くて、俺は驚いた。 『かめは、お前らが思っているような奴じゃない。』 中丸の表情は怒っていたが、目はすごく切なかった。 『なんで分かんないんだよ。どうしてかめを分かってやれないんだよ。』 中丸は訴えるようにそう言った。 そして中丸はぴぃから離れて、俺に掴みかかってきた。 『かめの一番近くに居たのに、どうしてお前は信じてたやれなかったんだよ。』 俺は何も言えなかった。 『傷ついたのは、赤西だけじゃないのに。お前はその目で何を見てたんだよ。』 そう言って中丸は手を離した。 『かめは、お前が一番楽になれる方法を選んだ。でも、それを許した俺らが悪かった。』 中丸はまっすぐ俺を見た。 『お前は勘違いしてる。まだ、本当のことを知らないんだよ。』 『....。』 『これ以上、かめを傷つけられない。例え、お前が後悔したとしても。』 中丸はそう言いきって、歩いていってしまった。 俺は中丸の表情の一つひとつを思い出した。 そして言葉の意味を、立ち尽くしながら考えた。
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