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部屋に着いて、中に入ると誰もいなかった。 俺は不思議に思いながら、椅子に座った。 しばらくすると、部屋にぴぃと亮チャンが遊びに来た。 『ってか、仁。今日も一人なんか??』 『まぁな。』 俺がそう言うと、ドアが開いた。 入ってきたのは、聖だった。 聖は一言も喋らずに入ってきて、亀梨の荷物を持って出ていこうとしていた。 すると聖は振り向いて、口を開いた。 『かめ、しばらく戻ってこないから。』 『...わかった。』 俺がそう言うと聖は何か言いたそうだったが、何も言わずに足早に出ていった。 『なんだよ、あれは。』 ぴぃはドアを見つめながらそう言った。 『なぁ、お前ら球技大会でバスケなんやって??』 亮チャンの言葉に俺らは頷いた。 『俺も一緒やねん。』 『じゃあ、また勝負だな。』 俺は少し期待しながらそう言った。 『せや。聞いたんやけど、亀梨たちは出ないんやってな。』 その瞬間、ぴぃは露骨に嫌な顔をした。 『そうみたいだな。』 俺がそう答えると、亮チャンは前に出てきた。 『これは、噂なんやけど。』 『なに??』 俺はそう言って亮チャンの前に座った。 『ゆいちゃん、引っ越すんやって。』 俺は目を見開いた。 『どうして??』 『それは、わからん。せやけど、ゆいちゃんが引っ越すっていう日、球技大会の日なんよ。』 何となく亮チャンが言いたいことがわかった。 『それがもし、本当なら亀梨が球技大会に来ないのは、ゆいを送るためっていう可能性があるってこと??』 『まぁ、そういう可能性があるっちゅうことや。』 俺は妙に納得した。 それから、ゆいのことが本当なのかどうか、それを考えながら、寝るまで過ごした。
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