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- K 冬休みが終わる日から数日、俺は学校には行かずに親と一緒に実家に来ていた。 そして今日は、ばあちゃんの命日で、年に一度の家族が揃う日だった。 「ごめんね。学校があるのに。」 『いいよ、別に。』 俺は靴を履きながらそう言った。 そして、立ち上がると腕を掴まれた。 「和也。」 『なに??』 「母さん、」 『行きなよ。』 俺は振り向いてそう言った。 『父さんも待ってるんだろ??』 そう言うと母さんは手を離した。 「和也。無理はしないで。」 『母さんもね。』 「それと、早く仲直りしなさい。」 俺は母さんの言葉にどう答えていいか分からなかった。 そして俺は久しぶりに、実家から歩いて寮まで帰った。 その途中で、向こうから見覚えのある姿を確認した。 『かめ。』 『..聖..。』 俺は歩いて聖の元に向かった。 『迎えに来たぞ。』 そう言って聖は荷物を持ってくれた。 『聖、ありがとう。』 俺は歩きながら礼を言った。 『なにが??』 『荷物、家まで持ってきてくれたんだろ??』 『そんなこと、当然だろ。』 そう言って聖は足を止めずに歩いた。 それから他愛もない話をしながら、俺らは歩き続けた。
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