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寮に着いて、俺らはすぐに食堂に向かった。 『あ、かめ。』 そう言って立ち上がり、こちらに手を振ってきたのは、中丸だった。 俺らは少し笑いながら、中丸の元へ向かった。 『おかえり。』 上田が腕を組みながらそう言って、俺は上田の隣に座った。 『ただいま。』 そう言っていると、聖が俺の分まで食事を持ってきてくれた。 『ありがとう。』 俺はお礼を言いながら、食事をした。 しばらく話しながら食事をして、俺らは食堂から出た。 中丸たちは一足先に、部屋に戻り俺と聖で、俺の部屋に入った。 そこには既に、山下と錦戸と赤西が戻っていた。 俺は話しかけることもなく、ベッドに向かうと山下に腕を掴まれた。 『おい、亀梨。』 そう言われて俺は山下を見た。 『なんだよ。』 『ゆいちゃんが引っ越すの、知ってんだろ。』 山下の目は真剣だった。 『知ってたら何かあるわけ??』 そう言うと山下は俺の胸ぐらを掴んだ。 横目で聖を見ると、今にもこっちに来そうになっていた。 『聖、来るな。』 俺は冷静にそう言った。 そして再び、俺は山下を見た。 『で、何が言いたいんだよ。』 そう言うと山下は強く握りしめた。 『亀梨。仁を傷つけて、次はゆいちゃんを傷つける気か??』 『は??』 『ゆいちゃんが今日、仁に話があると、会いに来たんだよ。』 そう言われて俺は、思い付いた。 『わかった。ゆいちゃんは俺に脅されて、赤西に話をしろって言ったと思ってるんだ??』 俺はそう言いながら笑った。 『何がおかしいんだよ。』 山下の少し苛立った声を聞いて、俺は逆に山下の胸ぐらを掴んだ。 『勘違いすんな。ゆいちゃんは自分の将来を考えて、引っ越すんだよ。』 『...。』 『それに、ゆいちゃんのことは、何があろうと俺には関係はない。』 そう言うと山下は俺の腕を振り払った。 『仁から奪い取った彼女なのに、関係ないのか。とんだ偽善者な親友だったんだな。』 『ってか、取られたくなかったら、縛り付けておけば??』 俺は山下から視線を外し、赤西を見た。 赤西は少し震えてるように見えた。 そして赤西は俺と目が合って、急いで錠剤を飲んでいた。 俺は見ないフリをして、山下を見た。 『お前らと話してると、イライラすんだよ。』 俺はそう言ってベッドではなく、ドアに向かって歩き、部屋を出た。
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