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- K
あの公園から、俺は早歩きで寮に帰った。
途中で聖に会って、俺は立ち止まった。
『...かめ。』
聖がそう呟くと、俺の後ろで足音が聞こえた。
『...赤西。』
聖の呟きに、俺は緊張が走った。
それが顔に出てたのか、聖は俺の腕を掴んだ。
『赤西。先に庭に行って。』
『....。』
『必ず、かめを行かせるから。』
聖の言葉を聞いて、赤西は部屋に入り、すぐに出てきて庭に向かって歩き出した。
山下たちは、各自の部屋に戻ったみたいで、出てこなかった。
『かめ。』
そう言って聖は俺の目を見た。
『かめ、もう終わりにしよう。本当のことを言って、赤西と仲直りしろ。』
『...でも..。』
そう言うと聖は俺を抱き締めてくれた。
『大丈夫だ。赤西は変わってない。そして、心のどこかで、かめを信じてる。』
聖は体を離して、頷いた。
俺は目を瞑り、覚悟を決めた。
『....わかった。』
俺は目を開けて、聖を見た。
『行ってこい。』
聖に背中を押され、庭へと向かった。
ドアを開けて、すぐに赤西の姿を発見した。
向こうも俺に気付いて、俺はゆっくりと赤西に近づいた。
『待たせて、ごめん。』
俺がそう言うと赤西は首を横に振った。
『大丈夫。それより、話をしよう。』
赤西はそう言って座った。
その姿は、いつになく真剣だった。
俺は少し距離をあけて座った。
『話を聞く前に、一つ。』
赤西はそう言って俺を見た。
『ゆいとのこと、全て包み隠さずに話してほしい。もう、嘘は勘弁。』
『...。』
『頼むな。』
『...わかった。』
俺はそう返事をして、ゆいちゃんとの、あの日の全てを話した。
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