09

14/14

393人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
光を感じて、目を開けるとベッドに寝ていた。 上にはベッドの底が見えて、自分が寝ていたベッドは亀梨のベッドだと気付いた。 それを考えていると、ドアが開いた。 『起きたか??』 亀梨はそう言って座り込んだ。 俺が起き上がろうとすると、亀梨に遮られた。 『まだ、寝てろ。』 そう言って亀梨は心配そうに俺を見た。 『また、再発したのか??過呼吸。』 『いつものことだから、大丈夫。』 俺は目を見てそう言った。 『なぁ。』 俺はそう言いながら、起き上がった。 『今日、一緒に行ってほしい所がある。』 俺がそう言うと、亀梨は驚いていたが、頷いてくれた。 俺はすぐに着替えを済ませて、部屋を出た。 玄関の前で聖に会った。 俺は通り過ぎそうとしたが、途中でよろけた。 すると俺は聖の手によって支えられた。 『...悪い。』 俺はそう言って聖から離れて、靴を履いて外に出た。 『ごめん、待たせて。』 そう言うと亀梨は俺の隣に来た。 『行くぞ。』 そう言われて俺らは、久しぶりに二人っきりで歩いた。 何も言わなくても、互いに行くとこは分かっていて、自然と足が前に進んだ。 交通機関を使って着いたのは、山小屋。 中に入り、俺はソファーに座った。 すると、隣に亀梨が座った。 『なぁ。』 『ん??』 『俺は、間違ってたんだよな。』 俺がそう言うと亀梨はこちらを見た。 『一人で傷ついたようにしてた。』 『...。』 『俺は、勘違いのせいで親友を失うなんてな。』 そう言って笑うと、亀梨が俺の肩を叩いた。 『俺、一度言ったことあるよな??お前は優しすぎるって。』 そう言われて俺は考えた。 『確かに、言われたことある。』 『母親が急に会いに来た時、連れていかれて酷く叱られて、手をあげられても、お前は何も言わなかった。』 『見てたんだ。』 『それに、俺のことも簡単に許したりして。昔から喧嘩しても、お前はいつも優しかった。』 『...。』 俺は何も言えなかった。 でも、亀梨の穏やかな表情を見て、俺は決心した。 『...なぁ。』 『なに??』 『...俺と、もう一度友達になってほしい。』 そう言うと亀梨は目を見開いた。 でも、すぐに表情は穏やかになり、笑った。 『俺らは、昔から親友だろ??なぁ、仁。』 そう言って笑ってくれた。 『...かず。』 そう呼ぶと、手を出してきた。 『仲直りだ。』 そう言われて俺は手を握った。 この時は、知らなかったんだ。 もう一つ、俺の元から去った理由があることを。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

393人が本棚に入れています
本棚に追加