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―ピンポーン
そんな私たちに訪れる現実。
家のチャイムの音で、抱きしめあっていて手をゆっくり離し
ジッと見つめあう。
―ピンポーン
更に、響くその音にパパが深呼吸して私たちから離れて玄関に向かった。
「はい。」
パパがそう言って、玄関の扉をゆっくり開ける。
すると、向こうには黒いスーツをビシッと着こなした50歳くらいのおじさんが立っていた。
「朝早くから大変失礼致します。
秘書の橘と申します。友香さまをお迎えに参りました。」
「……っ…」
何も言えないパパの背中を見つめて、涙を流すママ。
そんな2人を見つめて…私は笑顔を作った。
「……それじゃ、行ってくる。」
「友香……」
「余裕!大丈夫。」
「友香…すまない。」
私は、パパとママをゆっくり見つめて…
心の底からの言葉を向けた。
「パパ、ママ。ありがとう…
元気でいてね?」
2人は涙で言葉にならない様子だった。
私はゆっくり玄関を出て、扉を閉めた。
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