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「何よ。ママが謝らなきゃいけない事があったの?」
私は精一杯明るく振舞う。
でも、ママの様子は全然変わらなかった。
「パパ…書斎にいるから。」
「………。
…わ、かった。」
さすがに、明るく振舞うのも怖くなって
私はそう答えた。
クルっと背中を向けたママの背中は小刻みに震えていて…
泣いている様に見えた。
―何があったの?
言葉に出来ない不安が私を支配した…
二階にあるパパの書斎に近づくと、書斎からパパが電話で誰かと話してる声が聞こえる。
「ですが!友香はまだ16歳なんです!!
はい…はい…。はい…友香や妻とも、よく話してみます。」
聞こえた。
たしかに、聞こえた。
私が16歳だからって…何かを話してみるって…
確かに、そう言ってた。
パパの声が聞こえなくなったのを確認して、私は大きく深呼吸してドアを叩いた。
―コンコン
「パパ?」
「ど、どうぞ!」
扉を開けて、明らかに動揺してるパパに笑顔を向けた。
「パパ、ただいま。」
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