第16話 "復讐代行者"の真実

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本部から徒歩約10分。 静かな住宅街に入る手前にあるのが、遠夜の住むちょっと古さを感じるアパートだ。 すぐ近くに大通りがあるので買い物に便利だ、ということで、この辺りは近頃人口が増えてきている。 その他に、"学校が近い"というのも、人口の増える要因の1つと言える。 以前来た時とほとんど変わらない様子に、遠夜は懐かしさを感じた。 遠夜は自らの住むアパートの部屋の前までやって来た。 ーーーよかった……"差し押さえ"とかになってなかったみたいだ。 そのままの状態だったので、思わず遠夜はほっと胸を撫で下ろした。 鍵を何度かガチャガチャと回し、部屋の中へと入る。 棚に大きな埃(ほこり)があるのが気になったが、その他は何ひとつ変わっていなかった。 ーーーなんだか……懐かしいというか、久しぶりって感じだな……。 心の中の嬉しさを表したかのように、遠夜の表情は笑顔になっていた。 最近は"復讐代行者"として依頼を多く実行していたため、常(つね)に気を張っていた。 アパートに久しぶりに帰って来たことで、少し気が抜けたのかもしれない。 部屋の窓をちょっと開けて、小さな丸テーブルの上を軽く拭き、壁に寄りかかるようにして座る遠夜。 ーーーもう少しだけ……ここにいよう……。 窓から入ってくる午後の穏やかな風を感じながら、遠夜はゆっくりと目を閉じた。
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