44人が本棚に入れています
本棚に追加
「やはり……さすがに気づくか……」
そう言って路地の影から現れ、遠夜の目に入った人物はーーー。
全身を黒で統一した格好をしている、斑鳩(いかるが)章介であった。
遠夜の手は自然と、羽織っていた上着の内ポケットへと伸びていく。
「こんなところで……"それ"を使うつもりか?菅井遠夜」
「…………」
挑発的とも言える斑鳩の言葉に、遠夜は内ポケットに手を入れたまま、さらに斑鳩を睨みつける。
斑鳩はゆっくりと遠夜に近づいて来て、ある程度遠夜と近くなったところで立ち止まった。
「……場所を変えようか。
こんなところで、お前の持つ"2つの拳銃"は使えないだろう?
それに……」
斑鳩は言葉を止め、遠夜に背を向けて言う。
「私からお前に、話しておくべきこともあるし……な」
意味深な言葉を残し、斑鳩はそのまま振り返らずに歩いていく。
ついて来い、ということだろう。
遠夜は内ポケットから手を出して、斑鳩を見失わないぐらいの距離を保って、ついて行った。
最初のコメントを投稿しよう!