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斑鳩のあとを追い、遠夜がやって来たのは真っ暗な小さな工場だった。
所々にある外灯が唯一の光と言ってもいいだろう。
ちなみに、遠夜のアパートから約15分ほど歩いた場所にある。
この工場は"廃墟"になっているわけではなく、ただ夜だから暗い、と誰が見ても分かる。
工場の敷地内に入ってもさらに歩き、斑鳩は入り口から一番奥の倉庫前まで歩き続けた。
「俺に、何か話すことでもあるのか?」
立ち止まった斑鳩に、遠夜はためらいもなく拳銃を向ける。
遠夜の方へ振り返った斑鳩は、動揺することなく口元に笑みを浮かべる。
「話があるから、ここまで連れて来たんだ。
お前の心の中でも、少しでも聞きたい、と思ったんじゃないのか?」
「……そんなこと、思うはずがない」
馬鹿にするような斑鳩の口調に怒った遠夜は、強い口調で言い返す。
そんな遠夜の反応が面白かったのか、ふっ、と少しだけ斑鳩は笑った。
「そうか。
まぁ、そういうことにしておこう」
遠夜は拳銃を持った手を、怒りに身を任せて強く握りしめた。
そして斑鳩は「さて、と」と言って、話を切り出す。
「菅井遠夜……お前は、"復讐代行者"という存在がなぜ生まれたのか……知っているか?」
「……知るはずが、ないだろ……そんなこと」
斑鳩の突然の問いかけに、遠夜は思わず言葉を詰まらせた。
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