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いつ"復讐代行者"という存在が生まれたのか、誰が生み出したのか。
ほとんどの代行者がそれを知らない。
もちろん、遠夜も何も知らず、代行者として5年過ごして来た。
遠夜を"現在の道"に誘った張本人である九条義樹からは、代行者は何をするのか、ぐらいしか聞いていない。
「ずいぶん困惑した表情を浮かべているな、菅井」
「……そんなの、当たり前だろうが。
そもそも、どうして知ってるんだよ」
「私が言わずとも、お前なら分かるだろう?」
斑鳩の焦(じ)らすような言い方に、苛立ちを覚えるが、言われた通り、少しだけ考えてみた。
ーーー誰も知らなかった復讐代行者の"真実"。
……全てを知るのは、代行者を生み出した人間だけ、だ。
つまり斑鳩は……。
少しだけ睨むことをやめて、決意のこもったような目で斑鳩を見る遠夜。
「あんたが、復讐代行者を生み出した人間なのか……?」
「そうだ、と言いたいところだが、少し違うな」
斑鳩の言葉に、遠夜は何も言わずにただ首を傾げる。
遠夜のそんな行動を気にすることなく、斑鳩は話を続けた。
「私だけではなく、今の復讐代行者のリーダー九条義樹とサブリーダーの清嶋秀紀(ひでのり)も、"創始者"の1人だ。
まぁずいぶん話がずれてしまったが……、私の知る限りのことは教えよう」
数秒の沈黙ですら長く感じられ、斑鳩が話し出すまでに遠夜は何度か唾(つば)を呑み込んだ。
斑鳩は息を整えてから、ゆっくりと話始めた。
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