ぷろろーぐ

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夜も深い深夜。一般人なら寝ている時刻。もちろん明日の為に寝ているのだろう昔を思わせるレンガ造りの家からは灯りなど消えている。 幾つかはついているが起きているかなんてしるよしもない。 もしかしたら消し忘れているのかもしれない。 しかし今はそんな事はどうでもいい。起きていようが寝ていようが今の私には関係などないのだ。 早く安全な場所に移動しなければただその一点のみに集中したい。人気も無い町並みの更にその深い路地裏に身を潜ませた。 傷だらけの体を引きずるようアジトに向かう。 (ミスった) 体の至る所にある致命傷とはいかないが小さくも無い傷からちりちりとした痛みと微量の血が流れ落ちている (ああもう、ドジった) 自慢の体が傷だらけだ。陶器を思わせる白い肌が自分の血だか返り血なのか赤くなってしまった。柔くて触れればはりのある中にマシュマロのような肌は血でぱりぱりしている。私の容姿に合う甘い香りに気品ある匂いは血臭しかしない。 (気持ち悪い) 髪や肌にへばりつく血にたいしてではなくて。私が (嫌になる) まるで本当の自分を映しているようで 偽っていた私から本当の私になってしまったようで。 傷だらけの体に触りたくも無い汚れた体。その上血臭しかしない体。まるで私の本性を表しているようじゃないか (早く落としたいわ) 私がにじみ出て来る前に。
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