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出せる情報より分けて、どちらの勝ちにもしたがりません。
願うは平和。
休戦だけを、望みます。
――けれどある時、王宮に。
新たな人が、召されました。
仕事は、占術。
星読みと、その人皆に呼ばれます。
分厚いフードのその人は、男女の別も、分からない。
肩に乗せるは、大きなオウム。
キラキラとした七色で、賢く言葉を話します。
その人、その者は無口なのか、殆ど何も、喋りません。
会話をするのは、殆どオウム。
七色胸に輝くは、小さな小さなペンダント。
文字の彫られた表面は、磨き込まれて、ぴっかぴか。
オウムは、彼女に問いました。
『賢イ賢イ、オ姫サマ。貴女ハトテモ聡明デ、格式高ク、オワシマス。マサカ、可愛イオ姫サマ。貴女ハアチラヲ知ッテルノ?』
お姫さまは、言いました。
「いいえ、可愛いオウムさん。私はあちらを知らないわ」
とても賢いお姫さま。
もしもそのこと知られれば、命すらをも狙われる。
どんな人にも言いません。
言葉も、思想も、暗号さえも。
それでもオウムは問いました。
『賢イ賢イ、オ姫サマ。ドウカホントヲ教エテヨ。知ッテル人デモイイノデス。私ハ、アチラニ行キタイノ』
不思議に思ったお姫さま。
おしゃべりオウムに聞きました。
「可愛い可愛いオウムさん。あなたはどうして、あちらへと?」
オウムは少し、俯いて、声を落として言いました。
『コノコノママハ、人買イニ、可愛イ妹、売リマシタ。貧シク、オ金モアリャシナイ。可愛イ妹、売ラレタ先が、遠イ遠ォイ、アノ国デ。コノコモツイニ大人ニナッテ、ドコヘモ行ケル、足モアル。ケレド、アノ国、入レハセズニ、セメテ妹オモウタメ、コノコニ聞カセテ、ヤリタイノ』
聞いた可愛いお姫さま。
三日三晩を悩み抜き、とうとうその子に言いました。
「あちらを分かるのは、私です」
嗚呼、愚かなお姫さま!
オウムは影で、笑います。
『見ツケタ見ツケタ、オ国ノ仇。ワタシノ国ヲ分カル奴。アイツヲ殺セ、アイツヲ殺セ、デナケリャオ国ヲ食イ潰セ!』
そうです、哀れなお姫さま。
同情したのが、運の尽き。
彼が彼女が、あの人こそが!
敵国魔女、だったのです!
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