別の世界の白雪姫

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むかしむかァし、あるとこに。 そんな下りで始まるは、有象無象の物語。 誰も彼もが知っている、だから素直に楽しめる。 戯曲、虚実に、偽り話。 だから誰もが読み耽る。 ならば、わたしも紡ぎましょうか、むかしむかァしあるとこに。 外交不安の国があり――。 昔も今も、変わらぬことに、妬み争いは失くならぬ。 ある美しき王国に、ひとり可愛きお姫さまがおりました。 小さな頃から身体が弱く、城のお部屋で引きこもり。 話し相手は、部屋来る小鳥。 庭に遊んだ兎たち。 幸せな日々を持ちました。 されどその国、怨みをかって、開戦間近の敵国一つ。 しかし相手は、未知の国。 所謂鎖国、言葉すらをも解らぬ始末。 敵情知るのが戦の基本、果たして王さま困り果てた。 「さてぞ困った、てんで解らぬ。言の葉すらをも見当つかば、作戦なんぞ理解ができぬ」 苦難の戦、制さば敵を読み、敵の情報掴むべし。 どんな世界も、真理変わらず。 ならばと敵国縦横無尽。 それを好機とやりたい放題。 しかしある時、お姫さま。 自分の父に、言いました。 「わたしの友は、小鳥や兎。彼等に国等ありませぬ。彼等に私が学びましょう。あちらの言葉も、僅か解れば救われましょう」 とても健気なお姫さま。 可愛い小鳥に聞きました。 「私の大事なお友達。あちらの言葉を教えておくれ。私が彼等を解るまで」 彼女を好きな小鳥たち。 澄んだ音楽歌います。 それから可愛いお姫さま。 あちらの言葉を、覚えました。 次に賢いお姫さま。 可愛い兎に聞きました。 「私の大事なお友達。あちらの風習を教えておくれ。私があちらを解るまで」 彼女を好きな兎たち。 可愛い手足で描きます。 それから可愛いお姫さま。 あちらの生活、学びました。 いつしか可愛いお姫さま。 国で唯一、敵地の学者。 何もかもをも、知ってます。 王様、とても喜んで。 早速彼女に暗号を、解かせて軍を動かします。 手の内曝したかの国は。 次第に窮地を迎えます。 それでも賢いお姫さま。 血が流れることは、望みません。
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