雅とネルフ

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闘病生活を終え、平穏な日々が続いた。 病気の為に仕事も辞めたので家事を一通り終えると昼間に1人の時間が増え、サイトにオンする時間も比例して増えた。 私はエッセイや日記を書いたりしてたが、やっぱり人の日記を読んで回った。 その中で同じ地域に住む2人の男性の日記がとても目を引いた。 1人は『雅(みやび)』という一見して女性と思わせるような名前、力強い文章の中に繊細さと気品を漂わせる独特の世界観がとても印象的。 例えるなら夜空の一番星か、または暗闇の中で冴え冴えと優しい光を照らす月のような…儚げな雰囲気。 彼はサイトでも人気者だった。 もう1人は『ネルフ』。 雅とは対称的なちょっと自己チューの世界に入ってる暗いイメージ。 例えるなら暗闇の中さらに深淵の奥で何かが蠢いているような…危なげな雰囲気。 私はもちろん雅と仲良くなりたかった。 彼の持つ独特の雰囲気や表現力が私は好きになった。 サイトメールで、 『はじめまして、私はあなたの日記のファンになりました!よかったら仲良くしてくださいね。』 と送り、返事を待った。 次の日ブログを開くと雅からの返事が着ていた。 ソツない在り来たりの返事だったがその丁寧な文章と自分の事を『私』という言い方がまた好感度を上げた。 何度かやり取りをした後、『彼女いるんですか?』と私は尋ねた。 あっさりと『いますよ。』と返事が来て私のテンションは下がった(ガク) そりゃあそうだよね…女がほっとかないか… 雅は私より年下だったがとても落ち着いていて何でも話せた。 彼とのメールはとても楽しくサイトを開くと彼からのメールが着ているのでサイトを開くのが嬉しくて仕方なかった。 一方ネルフは私よりも年上だったが彼女に振られ意気消沈してる様子で、彼女を忘れられずにもがいていた。 私はどこかで彼を救ってあげたい、心の傷を癒やしてあげたい、そう思ってメールのやり取りをした。 人を癒やす事で自分の傷も癒やしたいと心の中では思っていたのかもしれない。 彼は彼女に一途な気持ちで接してきたが、単なる遊びだったんだと一蹴され、好きだといったのも、今までのやり取りも全て嘘だと言われ酷い振られ方をしたのだと話してくれた。 私は彼に同情した。 とても純情な人なんだと思った。 この対極的な2人がこの先私に深く関わってくるとはこの時はまだわからなかった…
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