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「いやー、やっぱ女の子がいるって華があっていいよね」
新学期も始まり、学園で大きな年間行事の1つ入学式も無事終え、幾日か経った今、男だらけのむさ苦しい学園にも少しずつ変化が訪れていた。
新学期を向かえ、3年へと進級した羽達は必然なのか偶然なのか再び6人同じクラスになり、無理矢理入れられた生徒会もお馴染みのメンバーで現在進行形で受け持っているという、
前回と何一つ変わらぬ学園ライフを送っていた。
ただ一つ、この1年で大きく変わった事といえば、
先程も述べたように右も左も後ろも前もどこを見渡しても男ばかりだったこの男子校、
今年から共学校へと改正が決まり、少人数ではあるが確実に女子生徒の人数が増えつつあった。
そして、今まで唯一の女子生徒であった姫白 羽(ヒメシロ ハネ)は擦れ違う女子生徒達を横目にその嬉しさと興奮が隠し通せず緩む口元をニヤつかせていた。
「お前、女子高生を狙う変態なストーカーみたいだぞ?」
その姿を横目に、同じく羽の真横を歩く彼、朔眞 拓海(サクマ タクミ)は呆れ溜め息を零していた。
「ストーカーって…私は正真正銘、今をトキメク女子高生よ!」
「変態ってとこは否定しないのかよ…」
直ぐさま食いついてくる羽の発言に対し、鋭い突っ込みを言った後、本日二度目の溜め息を零していた。
「誰が今をトキメク女子高生ですって?聞いて呆れますね。
帰りが遅いと思ったらこんなところで道草を食ってたんですか?」
そして、前方からの突然登場にも関わらず見事な毒舌で切り捨てるお馴染みのこの男、魅城 椋(ミシロ ムク)もまた、二人の前で仁王立ちし深い溜め息を零していた。
どうやら現在、生徒会活動の真っ最中のようで、その証拠に羽と拓海の両手にはずっしりと積まれた書類の束が抱えられている。
「そんなに遅くなってないでしょ?それにちょっとぐらいの幸福感を味わってもいいじゃない、最近休む暇なんかなかったんだから…」
「はいはい、わかりましたから行きますよ。
皆、お待ちかねです。」
道草は幸福感だと述べる羽の発言も虚しく、三人足並みを揃えて、目的地である生徒会室へと向かったのであった。
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