1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
図書館の少女が巨大な硝子のオルゴールのネジを巻き、悲しいレクイエムと共に物語を話し始めた。
~昔々、最近か未来の話し。
眠りの国に一人の女の子が居ました。
その国は魔女の呪いで時間が止まり、生物は全て眠りに着きましたが
たった一人だけ、呪いと共に眠りから覚めた少女が居ました。
少女が周りを見ても、国の人々は眠り続けたままで
一緒に異国を目指した愛しい人も、何もかもを失い
そして、いつまでもいつまでも進まない時間に
少女は孤独に飲み込まれていきました。~
何だか今の私に似ている、と耳を傾けると再び少女は曲と共に物語を話し始めた。
~止まった街とは逆に、世界は静かに針が進みましたが
少女は街の時間に取り残され、変わらぬ歳を繰り返しながら
呪いをかけた魔女を探して歩き続けました。
そして、遂に魔女を見付けた少女は
呪いを解くように申し出ます。
『この街の呪いを解いて下さいな。私は独りは嫌なのです』
魔女は言いました。
『呪いを解いても構わないよ。ただ、お前はお前の真実を見る事になる』
孤独に押し潰された少女は、構いませんと魔女と約束をしました。
何があっても呪いは元に戻らない
こうして、魔女は街にかけた呪いを解きました。
呪いを解いた街は、また元の様な活気を取り戻すも
魔女の所へ行った少女は、硝子匣の中の球体関節人形へと姿を変えました。~
私は悍ましい物語に、その本を選んだ少女へ声をかけようとすると、回ったオルゴールがゆっくりと曲を止め、閉館の鐘が館内へ響き渡った。
「もう閉館なの?そんなに時間が経ったのかしら」
私は時の流れの速さに時計を見るも、身体は眠気と共に徐々に動かなくなっていった。
そして、最後には持っていた本が床へ落ち、私は硝子匣に囲まれ、コトンと床に眠りに落ちた。
最初のコメントを投稿しよう!