硝子匣のフルール

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少女は物語を綴った本を閉じると、硝子匣の中の私を持ち上げて唇を開いた。 『言ったでしょう。魔女は少女に真実を知る事になると。街へかけた呪いは、人に捨てられ忘れられた人形が、人へ恋をし…己の命と人の命を交換したの』 人形となった私の硝子の瞳から落ちる雫が、異国の本を持っていた形の指先を濡らすと、光と共に本の中へと吸い込まれ、一枚の挿絵となる。 『人形の夢が終わり、本当の物語へと変わりました。これで、失われた物語のピースが一つ…戻る事でしょう』 鐘の終わりと共に図書館の看板が裏返ると、少女は静かに本の表紙に、インクで記録した。 ~シンデレラの夢 人形鎮魂歌~ ―私は時の魔法のシンデレラ、時の呪いをかけた魔女。愛を求めた硝子匣のフルール…― Fin.
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