孤独

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俺は、幼い頃の記憶がハッキリとある。 何故かは知らんけど…。 そして、ある凍えるほど寒い冬の早朝。 オカンは俺を毛布で包め、ダンボールに入れた。 そのまま車に乗せられ、ある場所で止まった。 下から見上げたオカンの顔。 俺は嬉しかった。 こんなに真直でオカンを見れて。 リュージュに勝った気でいた。 しかし、次の瞬間、その幸せも打ち砕かれた。 トン… ダンボールごと、地面に降ろされた。 「…アーセナル。リュージュはいい子で顔も整ってる…。双子なのに、なんでそんなに違うのかしらねぇ……私、貴方のその目…1番嫌いなの。」 ザッザッザッ… オカンが遠退いて行く。 「オギャアァァアアア!」 精一杯、泣いた。 でもこの声は届かなかった。 どんどん離れるオカン。 一度も振り返る事のないまま、車は去って行った。  
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