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「ん…っ」
目を開けると、いつもと変わらない景色。
ただ変わってしまったのは、
君が、いないという事。
「鬼男くーん…、どこにいるのー?」
返事は無い。
「お腹空いたよぅ…」
一人の部屋に、自分の声だけが虚しく響く。
仕方ないから探しに行こう…と思い、ふと机を見ると、手紙が置いてあった。
「あれ…、誰のだろう…?」
宛名を見ると、俺宛てだった。
カサ、と手紙を広げ、目に入ったのは見慣れた字。
――――――――
大王へ。
王…貴方は冥界の王。
はじめて会った時は
僕なんかが
となりに
居ると思うだけで、
れんらくも、伝えられなく、
てつだいも、出来なくて
、
しょうに合わない、
ああ、でも
わからないけれど
せつめい出来ないけれど
でも、幸せでした。
しあわせ、でした。
ただ、それだけです。
かんじた気持ち、忘れませんよ
?
僕は、幸せでした。
――――――――
手紙の隣に置いてあったのは、鬼男くんが転生した、と書かれた紙。
鬼男くん、お疲れさま。
迷惑ばっか、かけてごめんね?
我が儘ばっか言ってごめんね?
ちゃんと仕事しなくて、ごめんね?
溢れ出るのは、涙と、「ごめんね」という言葉。
言いたい事、いっぱいあったのに
涙は止まる事なく溢れ続ける。
もし、もし何処かで、俺の事を見てくれてるんなら
この言葉、鬼男くんに届くかな?
「……幸せだったよ、鬼男くん」
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