自虐的な少年

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自分が幼かった頃を思い出すからだ。 無謀な夢を掲げ、才能も努力も無く悔しい気持ちだけ人一倍高い自分。 何も出来ないくせに泣き虫で正義感は人一倍、嫌なことからは出来るだけ逃げ、嫌な奴に陰で嫌味や悪口を呟く。 そんな自分を思い返しどうしようもない苛つきからチッと吐き捨て、また頭を振る。 こんなことが続き俺は全ての感情を殺すような日常を送ると決心した。 勿論、苛立っている時点で殺すことが全く出来ていない。 短気で短絡な自分なら有り前だ。 こんな中途半端な自分を半分笑い、残り半分が自己嫌悪に回る。 自虐的な思考は自己嫌悪が収まらない。 止まることを知らない。 振り払うように視線を逸らし早歩きで帰宅に専念する。 因みに俺の登下校は歩き。 今行っている高校を受けた理由も家から近かったからにすぎない。 まあ、俺の偏差値は正直高くなく低過ぎでもない。 どちらかと答えれば低いと答える。 ……まあ、勉強をしていない自分が悪いけど。 そして、下校時によくある近道。 俺は普段は頻繁に使用しているわけではないが今日は使用することにする。 いつも異常に自己嫌悪に頭が支配されたせいで少し頭痛がする。 こんな時に限り、この近道を選択して家に帰る。
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