力無き子どものようです

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( <●><●>)「ビロード」 私の背には 貯金箱とお菓子を詰めたリュックサック ( ><)「はい」 Tシャツ姿だったビロードには ちゃんと冬の格好をさせて ( <●><●>)「逃げましょう 私が ビロードを守りますから」 ( ><)「………はい」 私の一言と ビロードの肯定の言葉 ( <●><●>)「……」ギュッ ( ><)「……」キュッ 私たちの ちいさな手が重なれば 不安も不可能も 何もかもが無くなるのです ( <●><●>)「行きましょう、ビロード」 ( ><)「はい」 寒い寒い冬の 夕方の道を ちいさな二つの影が 歩いて行きます 『…──の山奥で、行方不明となっていた男児と女児の遺体が発見されました 女児の身体には虐待されたような傷があり、警察では女児の母親に事情を──……』 「守ります」と口にしたそれは 守られなかった約束なのか 知っているのは二人だけ 山の中 寄り添いながら 凍えてしまった二人だけが───……
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