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そんな言葉を口にしたのは、僕と同じ年齢くらいの少女だった。
きらりと光る黒の双眸。黒のおかっぱ頭に、前髪は所謂、パッツン。
体型は年相応といった所。纏う雰囲気はキリッとしていて、なかなかの美少女だ。
その美少女は、見慣れない制服を着ている。
純白の生地に、青と金色の線が入ったブレザー。そして、黒のネクタイ。スカートは、やはり白地に青と金色の線。
――そこで、僕は気づいた。
何故、少女の全貌が見えるのだろう?
僕は落ちて、少女に支えられたのだから、少女より目線は下にある筈である。
しかし、僕は今、少女を見下ろしていて――。
つまり、それは……僕が少女に持ち上げられている。という事を意味する。
因みに、片手で。
どれだけ、力強いんだよ?
しかし、僕の喉から苦し気に吐き出された言葉はそんな言葉ではなく、
「だったら、な、んで――助け、るんだ、よ?」
そんな言葉。
まるで、死にたかった人のセリフのようだ。と気づいたのは、口にした後だった。
そんな僕を、少女はフンと鼻で笑う。
「そんなの決まってるでしょう」
夕陽をバックに、彼女は不敵な笑みを浮かべ、当然のように答えた。
「私がヒーローだからよ!!」
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