第一回お題『ヒーロー』

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   そんな言葉を口にしたのは、僕と同じ年齢くらいの少女だった。  きらりと光る黒の双眸。黒のおかっぱ頭に、前髪は所謂、パッツン。  体型は年相応といった所。纏う雰囲気はキリッとしていて、なかなかの美少女だ。  その美少女は、見慣れない制服を着ている。  純白の生地に、青と金色の線が入ったブレザー。そして、黒のネクタイ。スカートは、やはり白地に青と金色の線。  ――そこで、僕は気づいた。  何故、少女の全貌が見えるのだろう?  僕は落ちて、少女に支えられたのだから、少女より目線は下にある筈である。  しかし、僕は今、少女を見下ろしていて――。  つまり、それは……僕が少女に持ち上げられている。という事を意味する。  因みに、片手で。  どれだけ、力強いんだよ?   しかし、僕の喉から苦し気に吐き出された言葉はそんな言葉ではなく、 「だったら、な、んで――助け、るんだ、よ?」  そんな言葉。  まるで、死にたかった人のセリフのようだ。と気づいたのは、口にした後だった。  そんな僕を、少女はフンと鼻で笑う。 「そんなの決まってるでしょう」  夕陽をバックに、彼女は不敵な笑みを浮かべ、当然のように答えた。 「私がヒーローだからよ!!」  
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