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そんな俺達は、とりあえず生きていけるだけの金をバイトで捻出し生きている。
変わらない毎日、そのほとんどをこの部屋で生きている。他人との接点はたった数時間のバイトの時だけ。
それも週に三日だけだ。それ以外はオフ、つまり暇だ。そんな日は、一日中チアキと交わることしかすることがない。
普遍で、不偏の、不変な世界。そんな地獄にも天国にも似た世界を俺達、否、俺だけが生きている。
ただ、完結していないことだけが救いだった。
「はっ・・・、笑える」
思考の海から浮上する。
まったく莫迦らしいほどに、馬鹿らしい。
くだらないことこの上ない、まさに戯言の他の何物でもない。
とりあえず、いつも通りチアキを起こそう。
一人では暇で退屈だ。なによりも虚しい。
チアキの肩を揺さぶる。起きない。
さらに力を込める。起きない。
もっと力を込める。頭が左右に激しく揺れているというのに起きない。
相変わらず、すげぇ奴だった。
こうなれば最終手段。こいつに対するリーサルウェポンを使用するしかない。
俺は、ゆっくりと手をチアキの顔面に持っていく。そして、やさしく鼻をつまんだ。
「・・・・・・っ、っ、っ」
こいつの弱点。それは寝ている時はなぜか鼻でしか呼吸をしないことだ。
いかなる状況に陥ろうとも、寝ている時に口で息をしないのだ。
だから、当然鼻をつまめば呼吸ができなくて起きる他ない。まぁ、過去それで意識を失ったこともあったけど。
みるみるうちに顔面が青くなっていく。
そろそろ危ない、と思ったところで鼻を開放した。
途端、激しく呼吸をするチアキ。しかし、やはり口ですることはなかった。
鼻をヒクヒクさせて懸命に息をする。犬かおまえは・・・。
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