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彼女の住む国の名は『呉』と呼ばれる国でした。
猛々しい赤の旗を揺らめかせる強い国です。
姫であるにも関わらず孫尚香が武芸を好んだのも、親や兄弟の影響でもありました。
彼女は毎日腰に弓を持つことから『弓腰姫』とも呼ばれていました。
そして時が経ち…
彼女は逞しくも美しい女性へと成長しました。
そんなある日のことです。
「尚香、お前はこれから蜀に赴き、劉備の下に嫁げ」
突然兄である孫権から、同盟国である蜀の君主、劉備の下に嫁げと告げられました。
いわゆる政略結婚です。
「分かったわ…兄様」
彼女は兄の申し出を受け入れました。
これが国の姫としての運命…
政略結婚が当たり前の時代では、彼女は受け入れる他ありませんでした。
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