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不吉な黒猫の絵なんか
売れなかった
それでもアンタはオレだけ描いた
「もうちょっとお前と
楽しみたかった」
と絵描きは泣いた
絵描きの頬にある涙の雫を
静かにオレはなめた
しかし絵描きの体はしだいに
冷たくなっていくのがわかった
「ゴメンな。もう無理みたいだ」
オレは現実を
受けとりたくはなかった
オレも泣き出してしまった
絵描きはオレの頭をなでて
「ありがとう」
と言って
静かに息をひきとった
オレは死んでしまった
絵描きの横で鳴き続けた
しかしオレには
やらなくてはいけない
使命がある
オレは鳴くのを止め
絵描きの手に握られている
手紙を口にくわえて
絵描きの家を飛び出した
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