第3章~幸せな日々(オリジナル)~

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オレはミルクの味が久しぶりだった あまりの懐かしさに涙が出る 絵描きはニコニコして オレを見ていた そして割った皿の 片付けに行った 最後の一滴まで きれいに飲みほした 大満足だった ちょうど絵描きも 片付けが終わったらしい 絵描きはオレの頭をなでてきた 「うまかったか?」 首を縦に振った 「まだ欲しいか?」 首を横に振った 「そっか」と言って 絵描きはミルクを棚にしまった オレは元気になって 机に飛び乗った そこから外を見ると すっかり夜になっていた 絵描きは自分の 布団を敷き始めた 「今日は遅いから寝るよ」 と言った よく見ると絵描きが敷いた 毛布の片隅が切れていた オレの毛布のタメに 切ってくれたのだろう 絵描きは小さな毛布の布団を 自分の布団の横にずらした オレは少し抵抗があった しかし、しょうがないと思い 小さく無器用に作った 毛布の布団に潜り込んだ 絵描きもそれに連れて 自分の布団に入った 「また明日ね」と 言って絵描きは寝てしまった オレは今日1日で幸せだった 久しぶりのミルク 温かい毛布 優しい人 明日もこんな日になるのかと 思うと胸が弾む そしてオレは気付かないうちに 静かに目を閉じた💤  
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