ぱいなつぷる×ぐりこ

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  「どうしたらあんなになるんだろうって、お母さんと一緒に大笑いしちゃった」 「うん」  視界の隅でぼんやりと、赤いランドセルが三歩分動いた。  今度は、なんとなく安心する。  つかの間。 「もう、シロちゃん、聞いてなかったでしょ?」 「うん…………え?」  上の空ながらも、何かおかしい気がして慌てて意識を戻す。  すると上目遣いに首を傾げた状態の君が、まっすぐこちらを見ていた。  ――息が、詰まる。 「あ、ごめ……いや、聞いてた」  聞きたくない、とは思ったけれど。  心臓はバクバクと早鐘を打っていた。  ばれて、いないだろうか。  君は鋭いから心配になる。  どうにか探ろうと口を開きかけた、そんな時。  テーブルに影が差し、女性店員の明るい声が響いた。 「お待たせしました、気まぐれケーキセットでございます」 「わぁ! オシャレ!」  無意識に『助かった』と思っていた。あのまま何かを言っていたら、今までの努力が全て泡になっていたような気がして。 「ごゆっくりどうぞ」  そう言って去っていく店員の姿も消えない内に、心を落ち着けようとコーヒーを含むと、口いっぱいに苦味が広がった。 「ねぇ、これすごくおいしいよ!」  幸い、君は運ばれてきたケーキに夢中のようで、一口頬張るごとに「おいしい」と綻ぶ顔に自分の頬も緩みっぱなしだった。  だから、油断していた。 「疲れてる時は甘いものだよね」 「やっぱり、疲れてた?」 「あ……」  気づいた時には既に遅し。
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