第1章*天国へようこそ

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パレスの門の前にいるっていうのに、門からパレス迄、ユニコーンの動かすソリで行くってあんた、それは何の冗談だい? なんて思わないこともなかったが、僕はあのソリに乗れるなら何も言うまいと心に誓って、ミシェルと執事に続いてソリに乗り込んだ。 するとユニコーンとそれに続く真っ白のソリは門からパレスへ向かって進む。 無音で走るソリが風をきって気持ち良かった。 門は勿論自動開閉。 5分程でパレスが近づいてくる。 それにしても随分とパレスの目の前にとめるんだな と思ったが、パレスの正面扉は開く気配を見せない。 ソリはどんどん前へ進む。 しかし速度をゆるめる気配はない。 執事はソリを止める命令を出さないのだろうか。 「あの、ぶつかります。そろそろ止まった方が良いのでは。」執事は返事をしない。 無視か。良い度胸だ。 仕方がないのでミシェルに同じ様な事を言うと、ミシェルに迄無視された。 「……。」 何なんだ、天国に来てまで、周りの冷たさに涙するなんてあまりにも僕は惨めだ。 しかし流石に近すぎる。 そろそろ止まらないと本当にぶつかる。 僕はうろたえる。 「え、ちょ、ちょっと待って。本当、ぶつかるって!ちょっと!聞いてんの!」 前に座る執事の肩に手をかけるが、その手を払われた。 扉との距離はあと数メートル。本当にもう駄目だと思った。死んだ僕がもう一度死ぬなんて、これはもしかしたら良いジョークのネタになるかもなんて、どうしようもない事を頭に浮かべ、体を固くして、目をきつくとじる。
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