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広く空けたその場所は、洞窟の何倍も大きかった。
円形の広場のような雰囲気で、壁には洞窟のような大きい穴がいくつか空いている。
どうやらここが中心のようだ。
その中心は大きな杯のようになっており、その上に開いた杯の直径に匹敵するほどの穴から差し込む日の光が杯を照らしていた。
穴からは、空が見えた。
鳥が何羽か穴から舞い込み、杯の縁に列を成す。
とても自然に出来たようには思えなかった。
かといって人が住むには大きすぎ、尚且つ作る技術がある人間がいるとは思えない。
天井に空いた穴、そしてその下の大きな杯、これほどの広さを必要とする生物は。
と、そこまでレオンが思考を巡らせた時、静かな空気が震えた。
「……来たか。待ちくたびれたぞ」
空気の震えは声となりレオンの鼓膜を揺らした。
尖って、透き通った不思議な声。
反響するようなたわみがある。
レオンはとっさに剣を構え、辺りを探ったが声の主らしき影はどこにもかかわらず見えなかった。
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