Ⅰ:旅の終わり

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竜騎兵隊は、隊員全員が『魔導騎士』と呼ばれる。 剣術はもちろんのこと、魔術も一通り修めていなければならない。 努力である程度の進歩がある剣術と違い、魔術は才能無しには初歩的なものすら行使できず、そのため魔導騎士になることは単なる名誉以上の価値があった。 レオンはいわゆる見習いの立場にあり、そこから抜け出せずにいた。 同期は皆、既に正式な魔導騎士になって久しい。 今頃はドラゴンライダーとして各地で活躍しているはずだ。 年に数名ずつ輩出されていく中で、レオンは『落ちこぼれ』の烙印を捺されてしまっていた。 魔導騎士になることの出来る人材は希少なため、王はレオンを手放そうとはせず、半ば飼い殺しのような形でレオンは見習いの地位に縛られていた。 給金もそれなりに与えられ、見習いであるが故に任務に与えらることはない。 そんなレオンに対して事情を知らない周囲が暗い口を叩くようになるまでそれほど時間はかからなかった。 レオンにはそれが耐え難かった。 魔導騎士は竜と対になってのみ敬われる。 竜と対になれない魔導騎士はその剣術魔術両方のスキルを持つという曖昧な立場から、単なる騎士や魔術師からは敬遠されることが多かった。
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