118人が本棚に入れています
本棚に追加
「何、ちょっとした揉め事なのさ。……昔からのな」
廊下を進み、階段を下りながらシーラは言った。
不安や恐怖は微塵も感じられない。
世間話をするような口調だった。
「見てのとおり略奪が仕事の奴らと、守護が使命のあたしたち。……ま、当然ちゃ当然だったのかもしれねぇ」
一階に着くと、シーラは玄関には向かわず、一旦奥へ。
戻ってきたシーラの手には、レオンの剣が握られていた。
「別にあたしたちだけなら良かったんだ。そう目立って抵抗することもなかった」
話しながら、差し出された剣にレオンは手を伸ばす。
「ただ……」
口調とは裏腹に、剣を握るシーラの手に何かを抑えるような力が込められたのを見て、レオンは伸ばした手を引いた。
「……ただ?」
シーラは自らを落ち着かせるように息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!