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鞘は、当然の如く床に当たり、鈍い音を立てた。
不思議そうな表情をするシーラに、レオンは口元をにやりと歪めて見せる。
「走るのに、鞘は邪魔ですから」
きょとんとした後、シーラはレオンと同様の笑みを口元に浮かべた。
「……助かる」
「見習いとはいえ、俺も騎士です。受けた恩はしっかり返しますよ」
見習い故、実戦経験は皆無。
不安を感じないと言えば嘘になった。
しかし、レオンが『見習い』であることとレオンの騎士としての腕は必ずしも比例しない。
レオンは、自らに大丈夫だ、と強く言い聞かせた。
「着いて来てくれ」
シーラは真剣な表情に戻ると、簡潔にそれだけ言って玄関を開けた。
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