118人が本棚に入れています
本棚に追加
レオンが目覚めてまず知ったのは、自分が死んではいないこと、もしくは死んでどうやら地獄に落ちたらしいということの二つだった。
こんな冷たく舗装もされていない岩石の地面が天国にあるとは思えない。
軋む体に鞭打ち、震える腕でうつ伏せの状態から起き上がる。
背後からの光で自分がいる場所の輪郭がぼんやりと浮かび上がった。
おそらく洞窟であろうそこは高さも奥行きも馬鹿みたいなサイズのようだ。
明かりの類は一切なく、背後の光が届かないところから先は手で触れられそうな闇が広がっていた。
背後を振り返れば、地面に蔦が散らばり、どうやら長年の蔦の成長がこの洞窟の入り口を巧妙に隠す結果になっていたようだった。
遥かな高みにある天井からは絶えず水滴が滴り、地面のそこかしこに水溜まりを作っている。
どこかに別の出口があるらしく、レオンが偶然空けた穴から風が吹いて周期的に甲高い音を立てた。
まるで洞窟それ自体が息をしているようで、レオンは前方の闇を見つめながらごくりと唾を飲んだ。
最初のコメントを投稿しよう!