Ⅱ:蒼き竜

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ここは一体何なのか。 至極当然な疑問がレオンの脳裏に浮かぶ。 蔦の繁茂を見る限り、少なくともこの出入り口は長年使われていないように思える。 何らかの原因で何も住まなくなっているのかもしれない。 例えば、蒼き竜。 最強と謳われた竜がもしこの奥にいたのだとしたら、ほかの竜もここをわざわざ根城にはしないはず。 小物の魔物ならなおさら近づこうとはしないだろう。 レオンのそうであってほしい、という思いが色濃い、希望的観測だった。 確かなことは唯一、この洞窟が誰の目にも触れず長い間ここに存在していたということだけ。 「…………」 静かな洞窟に鞘と剣とが擦りあう鋭い金属音が響く。 刀身自体は手入れはされているものの至って普通の長剣、特徴は柄の端の形状にあった。 柄の端は荒削りな楕円形をしており、その内部にはエメラルドのような緑色の石が埋め込まれている。
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