221人が本棚に入れています
本棚に追加
ギンッ
そう金属がぶつかる鈍い音がすると同時に、俺は驚愕した。
「学園の生徒としては驚異のスピードじゃな…。じゃが…甘い…!」
そう言い放ち、カミヤ先生は俺に背を向けた状態から“片腕で”俺の剣を弾き返す。
「くっ…」
「開始からいきなり攻めて来るとは意外じゃったわい…」
そう言って、カミヤ先生はゆっくりと俺の方に振り返った。
「“東国の鬼神”と呼ばれた人相手に、全力で戦える良い機会ですからね」
「ほう…坊はワシのことを知っとるのか」
「えぇ、勿論」
その言葉にカミヤ先生は少し嬉しそうな表情を浮かべ、「そうか、そうか」と微笑んだ。
俺が「あ、この人も笑えるんだ…」と若干失礼なことを考えていると、カミヤ先生は急に真剣な顔つきになり、言い放つ。
「じゃあ、ワシもちと本気で相手をしちゃろう…」
その瞬間、俺の目の前からカミヤ先生の姿が消え、後から殺気を感じた俺は慌てて前へ飛び退き、そのまま其処から距離を取った。
次の瞬間、俺が今まで居た場所にカミヤ先生の魔武器が通過するのを見て、俺は内心で冷や汗をかいた。
「うむ、回避能力も素晴らしいの」
「…そりゃどーも」
俺は苦々しい表情を浮かべると、カトラスへと話しかける。
『カトラス、今の…』
『あぁ、間違い無くあの老人は“肉体強化しておらん”な…』
『肉体強化無しであのスピードは反則だろう…』
俺ですら、カミヤ先生に初撃を加えようとした時には“フラッシュ・ムーヴ”という加速系の肉体強化魔法を使ったのに…。
最初のコメントを投稿しよう!