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「作戦会議は終わったかの?」
「!?」
その言葉にはっと目の前を見ると、カミヤ先生が目前まで接近していた。
俺は慌ててカミヤ先生の斬撃を回避して距離を取り、魔法を放つ。
「ボルテック・レイ…!」
俺がそう言い放つと、胸の前辺りに小さな球が現れ、其処から直線的に雷の一撃が真っすぐカミヤ先生に向かって放たれる。
“ライトニング”と並んで俺が好んで良く使う、雷の中級クラスの魔法“ボルテック・レイ”。
効果範囲はライトニングに比べ幾分狭いが、放たれるレーザーの様な一撃は貫通力、スピードのどちらも一級品であり、回避は困難だ。
だが、カミヤ先生はその一撃を易々とやり過ごした。
「…なっ!?」
…魔武器で弾くという離れ業で。
「今の魔法は俺の使う魔法の中でも、かなりスピードがある魔法なんですがね…」
「うむ、確かに普通のモノより早くて驚いたわい」
俺が感嘆の声を上げると、カミヤ先生はちっとも驚いてない表情で言い放った。
俺はその様子を見て苦笑する。これは厳しい戦いになりそうだ…と。
SIDEゲンジロウ・カミヤ
最初にゼノン・シュナイダーの一撃を受けた時、ワシは心の中で感嘆した。
双剣を使うことから、それなりのスピードであることは予想していたが、その実、そのスピードは想像を遥かに超えていた。
何らかの加速系の肉体強化を使用したのだろう。
開始と同時に消えた様に見えたシュナイダーの姿だが、ワシの目はシュナイダーが後に回り込もうとしている姿をキチンと捉えていた。
ギンッという音を響かせ、背後からの一撃を愛用の刀型の魔武器“鬼斬り”で防ぐ。
(初撃からこのスピードで後から…随分とエグいことするのぅ…)
老人相手に酷いことするわい…と内心でぼやきながらも、シュナイダーの実力を引き出す為に挑発の言葉を投げ掛ける。
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