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「ま、まぁ過去のことなんで今は大丈夫ですよ!」
と、俺は気まずい雰囲気を振り払うかのように、元気な声で答える。
そして今度は俺の番とばかりに、今度はカミヤ先生に疑問の声をぶつける。
「ところでカミヤ先生」
「…なんじゃ?」
カミヤ先生は、ようやく泣くのを止め、俺の方に視線を向けた。
「俺の戦闘スタイルの話はしました。今度はカミヤ先生が“肉体強化していなかった理由”を聞かせて下さい」
その質問に、カミヤ先生は「気が付いておったのか…」と小さく溜息を付き、話し始める。
「教師たるもの、生徒相手に本気とあってはいかがなものか…「本当のことを言って上げなさい、バカ主人」…はい」
何やら嘘の理由を話そうとしていたらしく、それを感じ取った魔武器さんが、カミヤ先生を叱りつける。
それを聞いて、カミヤ先生はボソボソと、しかし表情はえらく真剣に、本当のことを話し始めた。
「…この話は他言無用じゃぞ?」
その言葉に、俺たちは頷いて、先を促す。
「実はな…
ワシ、肉体強化すると筋肉痛で1週間動けなくなるんじゃ」
その言葉を聞いた瞬間、一斉に俺たちはずっこけた。
カミヤ先生そんな俺たちを眺めながら、頬をポリポリと掻きつつ続ける。
「昔は2、3日で治っていたんじゃがの。寄る歳には勝てんのか、回復速度が遅くなってしもうての…」
「そういえば、“東国の鬼神”って2、3日空けて依頼受けるって聞いたことあるかも…」
と、アリサが呟く。
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