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「それでさ、時間稼ぎする為に撃ったバレット。同時に射出して一瞬で終わっちゃうより、個別に射出して長い時間かけた方が時間稼ぎに向いてるでしょ?」
「確かにそうですね…」
「ホントだぁ…」
と、感心した風に呟く2人を他所に、レオンは納得出来なさそうな顔で首を捻る。
「けどさ、どうせ一個一個撃つならあんな数一気に召喚する意味なくねぇ?」
そのレオンの言葉に、俺は「良い所に気が付いたね」と微笑む。
「けど、それしようとしたら同時に魔法使わなきゃいけないから難易度高いし、何よりカミヤ先生にライトニング・ディザスター用意してるのバレちゃうからね」
「そう言われればそうだな…」
納得した様に頷く皆を見て、俺は「それに…」と俺は続ける。
「あれだけ同時に召喚したら、“流石にあの数は避けきれない”と思って、防御しようとするでしょ?ライトニング・ディザスターを確実に当てる為にも、足を止めさせたかったってのも理由のひとつかな」
「よく考えてんなぁ…」
「ほへぇ…」
「同じ歳だとは思えませんね…」
と、俺の言葉に3人は感心した様に、それぞれ感嘆の声をあげる。
そんな3人に俺は「雑誌で見かけた戦術なんだけどね…」と、苦笑する。
すると、アリシアが思い出したように「もしかして…」と、鞄からとある雑誌を取り出す。
「その戦術って、この本の“戦術指南”のコーナーですか?」
そう言って、アリシアが取り出したのは若者の魔導師から人気の“月刊魔導エース”という雑誌だった。
「そうそう。それに載ってたんだよ」
「知りませんでした…」
少し残念そうに答えるアリシアに、俺は「しょうがないよ」と笑う。
「その記事が紹介されたのって、魔導エースがまだまだあまり人気無かった頃だったからね」
というか、うん。
その記事の戦術提供したの俺だしな、知らなくて良かったというか、知られてたらなんか恥ずかしいというか…と、俺が内心で悶々としているとアリシアから声が掛かる。
「ゼノン、着きましたよ?」
その声に俺がはっと顔を上げると、目の前には俺の知っている“寮”とは遠くかけ離れた外観の建物が存在していた…。
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