『蒼氓』―タクシー編―

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    ―『AM5:04』― 男は、コンビニに立ち寄ってから暫くタクシーを走らせていた…。 すると、男の目の前にに中年太りが手を上げていた…。 (ブロロ…ロ…キューーキキ!) 男のタクシーは、<中年太り>の前で停めた…。      (ガチャ) タクシーのドアが開くと…そそくさと<中年太り>が、入りこんで来た! 「ほいなァ~運ちゃん〇〇までェ~行ってもらえるかァ♪」 男は、タクシーのドアを閉めて答えた。 「はい、〇〇ですね」 そして、<中年太り>が機嫌よさそうに語る…。 「運ちゃん、今からイイ事がァ♪起きるんやけどなァ♪グゥ…と辛抱できるかァ?」 男は、変な事を聞くヤツだなぁ…と思いつつ答えた。 「私は、運転に集中してお客様を無事に目的地に運ぶだけですので…」 すると、<中年太り>がニヤリと笑いながら言った…。 「おそらく無理やわァ~運ちゃんも男やさかい…耐えられるかァ~どうかァ♪」 男は、聞き返す! 「何の事です?」 男は、ルームミラー越しに<中年太り>の動きを探ると…。 何やらゴソゴソと…バックの中から探し始めたのだった…。 男は、堪らず<中年太り>に聞く…。 「お客さん!何をお探しでしょうか?」 すると、一端、手を止めた<中年太り>が言った…。 「運ちゃん♪これぐらいで気にしとったら 先が思いやられるでェ~」 そして、<中年太り>がまた!バックを探り始めた…。 男は、ルームミラー越しにチラッと様子を見る。 すると、その様子をみかねた<中年太り>が言った…。 「エライ気になるようでェ~♪なんやァ~思うねェ~♪」 男は、聞き返す! 「なァ…何なんです…」 男の額には…得体の知らない汗で溢れていた…。 「おォ~と!運ちゃん!まだよォ!ワテに協力したらァ♪イイ思いするきィ~♪」 そして、遂に…<中年太り>が!何かを男に押し付けた! 「ひィ~ひィ…」 男は、堪らず悲鳴が軽く出た…。 「大したもんやァ…さすがは、運ちゃん!よく恐怖を耐えとるゥ…」 <中年太り>が、男に何かを押し付けながら言う…。 男は、聞き返す! 「何が!目的ですか?」 すると…<中年太り>が、舌を舐めまわし言った…。 「運ちゃんのタクシーの中で仕事をさせて頂くゥ♪」 「しィ…仕事?ですか?」 <中年太り>が、顔を乗り出して言った…。 「運ちゃんはァ♪黙って運転しときィ~協力しておればァ…それなりに楽しめますわァ♪」 <中年太り>が、あまりの嬉しさでソワソワし始めた…。 男は…何が起こるのか…不安と得体の知らない…恐怖感でいっぱいだった…。
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