第一章

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  『雪乃さん。』 私を呼んでいるのは母だ。 『今日のお食事会、忘れていないでしょうね?お父様のお客様が来られます。』 『わかっています。私もお母様も同席するんですよね?』 そう。 私の家は由緒正しい家柄で 父は結構、偉い人らしく 知り合いも沢山いて 今日は仕事抜きでご家族も是非ご一緒にと、先方にお誘いを頂いたらしい。 接待というやつだ。 そこで私や母を披露するのだ。 礼儀正しく、賢く育てた娘、 善き妻、善き母として三歩下がってついてゆく母、 さすが〇〇さんの奥様と娘さんとなる、お披露目会みたいなものだ。 小さな頃からお披露目会には慣れている ピアノを弾いた事だってあるし 作文を読んだ事もある。 それが月1はあるのだ。
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