エルノール王立学園

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 緑の国と称されるマグダーズ大陸。 この大陸は現在争いを制したエルノール王国が治めている。 その王都にあるのが王国1の学園、エルノール王立学園だ。  王国軍すら実戦訓練に使えるほど膨大な土地を確保した為、中心部よりかなり外れに位置する。 それでも王都内であるし、国中のエリート――つまり主に小さい頃から英才教育を受けれる貴族達が集まる場所でもあり、王都内で1番活気があるのはここかもしれない。 当然学園自体もまるで王宮が如く豪華であり、初めて訪れた者は貴族ですら圧倒されるほどであった。 「へぇ、無駄にご立派なこって」  ところがである、漏れ出た言葉から察するに初めて訪れたのだろう漆黒の髪を持つ少年は、気負うどころか力が抜けたように歩を進める。 学舎にあるまじき豪華さに、寧ろ呆れたと感じなのだろう。  暫く広い敷地をうろうろしていると、見回りの先生かその為に雇われたか1人の男が少年に声を掛けた。 「君、とっくに授業始まってるよ」 「あぁ、すみません。 実は今日転入する事になっていた者ですが、少し迷ってしまって……流石エルノール王立学園、広いですねぇ」  急に態度が変わった少年に、男は納得した様に頷く。 「そうだね、1000人は学べるサイズの校舎が10棟以上あるから初めてじゃわからないか。 とはいえ、遅刻は良くない、次からは気を付けるんだよ」 「えぇ、すみません」  バツの悪そうに頭を掻く少年に笑みを向ける男。 実は待ち合わせは授業が始まる1時間前になっていたし、少年が学園に辿り着いたのは授業が始まって30分ほど過ぎた頃であった。 授業が始まる時間になっても少年が来ないので、待っていた教諭も諦めたのだろう。 結局は自業自得、因果応報、少年の父親を信じるなと言うことだ。
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